広末涼子さん公表の双極性障害を理学療法士が解説!心の病気への理解と支え合いの大切さ

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最近、女優の広末涼子さん(44歳)が自身の公式サイトで「双極性障害」(正式には双極性感情障害)と診断されたことを公表し、大きな話題になりました。広末さんは当面すべての芸能活動を休止し、治療と心身の回復に専念するとのことです。突然飛び込んできたこのニュースに驚いた方も多いのではないでしょうか。この記事では、広末涼子さんが公表した「双極性障害」とはどんな病気なのか、理学療法士である私の視点からわかりやすく解説します。私自身、リハビリの現場で双極性障害の患者さんと接してきた経験があり、そのエピソードを交えながらお伝えします。精神疾患への理解を深め、広末さんの勇気ある告白がもたらす希望や、病気と向き合う人への応援メッセージを綴ります。

双極性障害(躁うつ病)とはどんな病気?

双極性障害は、以前は「躁うつ病」とも呼ばれた心の病気です。気分が沈んで何も手につかなくなる「うつ状態」と、気分が高まり落ち着きを失う「躁状態」を繰り返すことが大きな特徴です。まさに感情の振り子が双極(2つの極)を行き来するように、元気すぎる時期と沈み込んでしまう時期が周期的に現れます。たとえば、うつ状態では朝ベッドから起き上がれないほど気分が落ち込み、何に対しても興味や関心が持てなくなります。一方、躁状態になると頭の回転が速くなりアイデアが次々浮かぶ、眠らなくても平気なほど活動的になる、といった極端な変化が現れます。場合によっては注意が必要なほどハイテンションになり、金銭的に大きな買い物をしてしまったり、攻撃的な言動に出たりすることもあります。周りから見ると「別人のよう」に映ることもありますが、本人は躁状態のとき自分の異変に気づきにくく、「調子がいい」と感じてしまうのもこの病気の厄介な点です。

双極性障害には、症状の程度によって「双極I型(重い躁状態を伴う)」と「双極II型(軽い躁状態〈軽躁状態〉と反復する)」の2タイプがあります。しかしいずれの場合も、基本的には気分の波が大きいという点で共通しています。治療法としては、気分の波を安定させるためのお薬(気分安定薬や場合によっては抗うつ薬・抗精神病薬など)を中心に、必要に応じてカウンセリングなどの心理社会的療法を組み合わせていきます。大切なのは、これらの治療によって適切に症状をコントロールすれば、双極性障害の方も社会生活を送ることができるということです。事実、双極性障害は決して珍しい病気ではありません。日本ではおよそ100人に1人弱がこの病気を経験すると言われており、性別や職業にかかわらず誰にでも起こり得ます。身近にこの病気と向き合っている人がいても不思議ではないのです。「自分とは無関係な遠い病気」と思わず、まずは正しい理解を持つことが何より重要でしょう。

理学療法士として出会った双極性障害の患者さんのエピソード

私が理学療法士としてリハビリテーションの現場に携わる中で、双極性障害の患者さんと出会ったことがあります。ある30代の男性Aさん(仮名)は、交通事故による脚の骨折で入院し、歩行訓練のリハビリを行っていました。同時に双極性障害の診断も受けており、日によって精神状態に大きな波がある方でした。リハビリを進める中で、その日の気分の状態によってAさんの様子がまったく異なることに、私は最初少し戸惑いました。

Aさんが躁状態に近い明るい気分の日は、驚くほどエネルギッシュです。リハビリ室に入ってくる足取りも軽く、「早く良くなってマラソン大会に出たいです!」と目を輝かせて意欲的に訓練に取り組みます。痛みがあっても「大丈夫です、もっとやれます!」と頑張りすぎてしまう傾向があり、私は「無理しすぎないようにしましょうね」と何度も声をかけてセーブするほどでした。一方で、別の日には一転してうつ状態のように沈んだ気分で現れることもありました。表情は暗く、私が「こんにちは」と声をかけても小さな声で返事があるだけ。リハビリに集中できず足取りも重いため、その日はベッド上で軽いマッサージやストレッチをしながら、「今日は少し気分が乗らないようですね。無理せずゆっくりやりましょう」と話しかけるのが精一杯でした。

このように日々変わるAさんの状態に合わせて、リハビリの内容やペースを調整する必要がありました。正直に言えば、理学療法士として身体のリハビリを担当する私にとって、気分の浮き沈みによってリハビリの進み具合が左右される経験は初めてで、最初は戸惑いもありました。しかし、次第に私の中である大切な気づきが生まれます。それは、「心と身体は切り離せない」というごく当たり前の事実でした。双極性障害のような精神の不調があれば、当然ながら身体の動きや痛みの感じ方にも影響します。逆に、リハビリを通じて身体が回復してくれば、心にも良い影響が及ぶことがあります。私はAさんとのリハビリを通じて、患者さんの「今日の心の調子」に寄り添いながら、できることを一緒に積み重ねていく大切さを学びました。

リハビリ終了間近、Aさんはある日ぽつりと私に本音を打ち明けてくれました。「実は、躁のときに張り切りすぎて周りに迷惑をかけてしまったり、うつのときに約束をすっぽかしてしまったりして、人間関係で苦労してきたんです。でも先生(理学療法士)は、どんな日の僕でも見捨てずについてきてくれましたね。本当に救われました。」その言葉を聞いたとき、私は胸が熱くなりました。Aさんは順調に脚の怪我を克服し退院していきましたが、リハビリの成果以上に、「心に寄り添うケア」の大切さを私に教えてくれたように思います。医療従事者として、そして一人の人間として、忘れられないエピソードとなりました。

双極性障害への偏見と向き合い方

双極性障害に限らず、精神疾患に対する世間の偏見や誤解は根強いものがあります。特に「障害」という言葉のイメージから、「人格に問題があるのでは」「本人の甘えや努力不足だ」などと誤った見方をされてしまうことも少なくありません。しかし、それは大きな間違いです。双極性障害は脳の働きや生体リズムの不調によって起こる医学的なコンディションであり、決して本人の性格や意志の弱さが原因ではありません。実際、前述のAさんも「自分ではどうにもコントロールできない波が来るのがつらい」とこぼしていました。この病気のつらさは、本人が一番感じています。周囲の私たちがまずできるのは、その事実を理解し、「頑張っていないわけじゃないんだ」「病気のせいで苦しんでいるんだね」と想像力を働かせることではないでしょうか。

では、双極性障害の当事者に接するとき、私たち周囲の人間は具体的にどのように向き合えばよいのでしょうか。いくつかポイントを挙げてみます。

  • 病気について知ること: 双極性障害がどういうものか正しく知りましょう。気分の波は本人の意思とは無関係に起こる症状だと理解するだけで、見方が変わるはずです。
  • 本人を責めないこと: 落ち込んでいるときに「しっかりして」「怠けるな」などと叱咤するのは逆効果です。本人が一番苦しんでいるのであって、怠けているわけではないと心得ましょう。
  • 話を傾聴すること: 本人がつらさや悩みを打ち明けてくれたら、否定せずに耳を傾けてください。ただ「聞いてもらえる」だけで救われる気持ちになることがあります。
  • 専門家の力を借りること: 症状が重いときには専門医の治療が不可欠です。必要に応じて通院や服薬を促す、予約に付き添うなど、専門家による適切なケアにつなげましょう。

大切なのは、本人が「一人ではない」と感じられるような支え合いの姿勢です。場合によっては家族や友人だけで抱え込まず、公的な支援サービスや自助グループなど第三者の手を借りることも有効でしょう。幸い近年では、双極性障害という言葉自体の認知も広まりつつあり、少しずつ理解の輪が広がっています。「障害」という言葉にネガティブな印象を持つ人もいるため、専門家の中にはあえて「双極症」と呼ぶ方もいます。呼び方ひとつをとっても、当事者に寄り添おうという姿勢が表れているのです。私たちも、病気だからといって人を色眼鏡で見るのではなく、一人ひとりの個性や人生を尊重しながら接していきたいですね。誰もが安心して「自分の心の不調」を打ち明けられるような社会になることを願っています。

広末涼子さんの公表がもたらす希望

広末涼子さんがご自身の双極性障害を公表したことは、社会に大きな希望と意味をもたらしました。日本でも多くの有名人がこれまでさまざまな病気を公表してきましたが、広末さんほどの国民的な女優が精神の病気を公表するのは勇気のいる決断だったと思います。その勇気ある告白に、私は一人の医療従事者として深い敬意を抱きました。同時に、広末さんの発信によって「双極性障害とは何だろう?」と関心を持った人が増え、こうして記事を読んでくださっている方もいるのではないでしょうか。病名の公表は決してスキャンダルではなく、本人や周囲が適切なサポートを受けるための第一歩です。

また、広末さんが治療のために芸能活動を休止し静養に入るという事実は、「心の健康のために休むことは恥ずかしいことではない」という大切なメッセージでもあります。現代社会では、疲れていても無理に働き続けたり、自分の心の不調を後回しにしてしまう人が少なくありません。しかし広末さんの決断は、「休む勇気」「助けを求める勇気」の大切さを示してくれました。誰もが心身の調子を崩す可能性がありますが、そんなときにちゃんと休んで治療に専念することは、決して甘えではなく賢明な選択です。

広末涼子さんの公表がきっかけで、「自分も専門家に相談してみようかな」「身近なあの人に声をかけてみよう」と前向きに動き出す人が一人でも増えることを願わずにはいられません。広末さんが見せてくれた勇気と誠実さは、私たちに希望の光を与えてくれました。これから広末さんが十分に休養をとり、元気な姿で復帰される日を信じて、心からエールを送りたいと思います。

まとめ

広末涼子さんが公表した双極性障害について、理学療法士の視点から解説し、私自身の経験談や偏見への提言を交えてお伝えしました。双極性障害は「躁うつ病」とも呼ばれ、気分が上がったり下がったりする波の激しい病気ですが、適切な治療と周囲の理解があれば決して乗り越えられないものではありません。広末さんの告白は、同じ病気に苦しむ人々に勇気を与え、社会全体が心の病気に対してもっとオープンになるきっかけになったと思います。大切なのは、どんな病気でも当事者を孤立させないこと。「一人じゃないよ、大丈夫だよ」と寄り添う気持ちを、私たち一人ひとりが持つことです。

この記事を読んでくださったあなたも、もしご自身や周りの大切な人が心の不調に悩んでいたら、どうか孤独を感じないでください。専門家の助けを借りることは決して恥ではありませんし、休むことも前進するための必要な時間です。広末涼子さんのように、自分の弱さやつらさをオープンにすることは、とても勇気がいることです。でも、その一歩が必ず道を拓きます。私も理学療法士として、そして一人の共感者として、皆さんが前向きに一歩踏み出すことを応援しています。「つらいときはお互い様」の気持ちを忘れずに、お互い支え合っていきましょう。広末さんの回復と今後の活躍を祈るとともに、この文章を締めくくらせていただきます。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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